里山の管理は自然と共に「雑木林の一年」

こんにちは。SHIORI BOOKSめぐみです。

本日ご紹介する本は向田智也作「雑木林の一年」です。

今ではすっかり見なくなってしまった、里山の管理された雑木林でおこる風景の一年間の移ろいと人間の暮らし、そして、小さな虫たちも季節によって変化します。

きれいな絵とおもしろい工夫で楽しく自然を学べる一冊になっています!

もくじ

「雑木林の一年」ってどんな本?

  • 著者:向田智也
  • 初版年月日:2014年7月
  • ページ数:39ページ
  • ジャンル:絵本

農家である田中さんが所有する雑木林の一年を定点観測で追い、人の生活と自然のつながりをわかりやすく解説した絵本です。

絵本の半分は、月ごとの雑木林の様子が描かれ、もう半分は「かわら版」としてその月のトピックスが紹介されています。たとえば伐採(2月)、草刈り(6月)、シイタケの収穫(10月)などの作業工程や、樹液に集まるチョウや甲虫(7月)、雑木林に集まる小鳥たち(11月)などの生き物が登場します。

こんな人におすすめしたい本です

古本が積まれた書店内のイメージ

生きものや図鑑が好きなこども

シンプルできれいなイラストと細かい字で、雑木林に生息する生き物や植物の情報がぎゅっと詰まっています。小学1年生で習う漢字にもルビがついているので、ひらがなを読める幼児にもおすすめです。

自然のちょっとした知識を持ちたいなと思うおとな

雑木林の今昔や、樹木の一生がイラスト付きで解説されており、おとなの知的好奇心をやさしくくすぐってくれます。子どもの「なに?」、「なぜ?」の質問に答えてくれる参考書にもきっとなるでしょう。

興味深いページとことば

日が差し込む針葉樹林

人は、目的に合わせて、いろいろな林をつくります。燃料や材料をとるため、シイタケを育てるため、集落や家などを、風や雪からふせぐため、それぞれの木の性質をいかし、林をつくるのです 

「雑木林の一年」 向田智也著(P26)

雑木林屋敷林防風林などの林は、人の手によって工夫して作られたもので、私たちの生活に関わっています。
昔の人の知恵と管理によって作られた林が、放置されて問題になっていることを考えるきっかけも、この本はもたらしてくれます。

雑木林の言葉辞典 (P34-35)
熊手(道具)、薪炭林(林の名前)、スプリング・エフェメラル(自然)、葉枯らし(作業)、木炭(生産物)、林縁(場所)など雑木林に関する言葉が30、6つに分類して絵とミニ解説で紹介されています。思わず「へえぇ」とか「ふぅーん」が口からこぼれるはず!

雑木林の生き物インデックス1.2  (P36-39)
絵を見ているだけでも楽しい本書ですが、ちょっとしたコメントがあるのがうれしいところ。雑木林でくらす生き物の紹介が充実ぶりがすごい!
チョウのなかま18種ガのなかま17種コウチュウのなかま50種、その他の虫や生き物24種、動物9種、野鳥16種、草花35種、きのこ22種 

まとめ:定点観測した身近な自然の貴重な記録

キリの林を歩く鹿とイノシシ

私が住む町では、ここ数日で紙吹雪のように木の葉が風に舞い、ほとんどが落ち葉となり紅葉の季節も終わりました。

めぐみ

ことしの紅葉はとくにキレイだと感じました!


以前の私なら、この季節はこれからやってくる厳しい冬の寒さに怯えたり、日が短くなることで気分が落ち込むこともありましたが、いまはこの冬があるからこそ春の芽吹きがうれしいのだし、この時期も実は植物や生き物たちは活動していることがわかり、一年のサイクルを通して自然を眺められるようになりました。

今回ご紹介した「雑木林の一年」は、どのページから読み始めてもよいですし、一気に読むのではなく少しずつじっくり読んだり、定点観測で描かれている林の様子を見比べたりしてみると楽しいと思います。

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