こんにちは。SHIORI BOOKSのめぐみです。
今回ご紹介する作品は、「のうさぎ」です。表紙の精巧な2匹のウサギ、絵は動物画の第一人者の薮内正幸さん(やぶうちまさゆき)です。画力に圧倒されつつ、野生のウサギの生きざまをご覧ください!
「のうさぎ」ってどんな本?
![「のうさぎ」の表紙](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2023/01/のうさぎ.jpg)
福音館書店HPより画像転載
- 著者:高橋喜平 / 絵 薮内正幸
- 初版年月日:1973年2月 復刻版1995年4月
- ページ数:24ページ
- ジャンル:絵本
「のうさぎ」はこんな人に読んでほしい!
![読書のイメージ](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2023/09/barry-wcuHcyluP4g-unsplash-1024x576.jpg)
生きものがだいすきなひと
福音館書店の「かがくのとも」シリーズなので、幼児にもおすすめです。すべてひらがなで書かれています。
絵を描くことがすきなひと
モノクロで表現できる技法をご堪能ください!
卯年のひと
2023年の年女・年男さんぜひ!
印象的なシーンとフレーズ
![野生のうさぎの画像](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2023/09/rabbit-1882699_1280-1024x682.jpg)
ノウサギの天敵であるクマタカが2ぺージにわたって描かれているシーン。鋭い目つきと爪、翼の緻密さにご注目。
くまたかです。
のうさぎは、 すばやく きのしたの
ゆきのあなに にげこみました。
ききみみを たてていなければ、
くまたかに つかまってしまったでしょう。
のうさぎ(P6-P7)高橋喜平 /絵 薮内正幸
「脱兎のごとく」ってまさにこういうことなんだというのがわかるシーン。
(省略)のうさぎには、 ながい みみと、ながい あしがあるので、
ききみみが するどく、にげあしも はやいのです。
のうさぎ(P13)高橋喜平 /絵 薮内正幸
![](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2021/09/zen5.png)
野生のウサギは、実はとっても体が大きく、後ろ脚も大きいですよね。この見事な脚力が描かれています。
つきのでている あかるい よる、
のうさぎは もう いっぴきの のうさぎに あい、
にひきは すっかり なかよくなりました。
だんすをしたり、ゆきのうえを
はしりまわったりしました。
のうさぎ(P15)高橋喜平 /絵 薮内正幸
![](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2021/09/zen5.png)
![](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2021/09/zen5.png)
![](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2021/09/zen5.png)
このシーンを見て、こちらも名作「しろいうさぎとくろいうさぎ」のダンスシーンを思い出しました。
ダンスは生態に基づく行動だったのですね!
まとめ:丁寧な仕事は時代を超えていく
![画材のイメージ](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2023/09/pens-1867899_1280-1024x683.jpg)
![画材のイメージ](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2023/09/pens-1867899_1280-1024x683.jpg)
先日絵本のおはなし会のワークショップに参加しました。講師の方が「最近話題になる絵本は、一時の盛り上がりは見せるけれど、その4、5年後には果たしてどのくらいの人たちに読まれているだろうか」ということをお話しされました。
出版社が子どもに媚びを売っているわけではないのでしょうが、商業的なにおいがプンプンする作品ってあるよなあと私も感じます。
ひるがえって、この「のうさぎ」は、野生生物の観察を通して生態を熟知しているお二人がタッグを組み、派手さがなく写実的なタッチだからこそ、50年にもわたり埋もれずに読み継がれるロングセラーなのだなと感じました。
昨年山梨県北杜市にある「薮内正幸美術館」へ行ってきました。
ちょうど小鳥の企画展が開催され、薮内さんが描かれる野鳥はどれもが生き生きとそして優しいまなざしをしていました。薮内ワールドに浸れて至福なときでした。
冬の間は休館ですが、ご興味がありましたら立ち寄ってみてほしいステキでちいさな美術館です。
作者の高橋喜平さんは、恥ずかしながら存じ上げなかったのですが雪崩研究家の方です。弟は「どろ亀先生」こと高橋延清さん。へえー!と思わず声に出してしまいました。兄弟そろって生き物にお詳しいのですね。
お生まれが1910年(明治43年)で2006年に95歳でなくなるまで、山に関する本などを書かれておられるので、こちらも今後読みたいリストにいれました。
![](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2021/09/zen5.png)
![](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2021/09/zen5.png)
![](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2021/09/zen5.png)
地元の図書館の「うさぎ年にちなんだ本棚」から「のうさぎ」がもれていたので、これはもったいない!!!!と思い、今回SHIORIBOOKSでご紹介しました!
たくさんの方に手に取ってもらえるとうれしいです!最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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