六花亭の画家の登山エッセイ「原野から見た山」坂本直行

こんにちは。SHIORI BOOKSめぐみです。

今回ご紹介する本は、坂本直行さんの「原野から見た山」です。

山を愛した作者が綴った文章とともに数々の挿絵が掲載されています。作者の名前にピンとこない方でも絵をみれば、「あぁ!」と気づくはず!

そう北海道が誇るお菓子「六花亭」の包装に使われている絵の作者こそ、今回ご紹介する坂本直行さんです。

もくじ

「原野から見た山」 ってどんな本?

「原野から見た山」の表紙イメージ
https://honto.jp/
hontoHPより画像転載
  • 著者:坂本直行(ちょっこう)
  • 初版年月日:1957年(1973年復刻版)(文庫初版年月 2021年2月)
  • ページ数:222ページ(文庫版)
  • ジャンル:画文集

1906年(明治39年)北海道釧路に生まれ1982年(昭和57年)に亡くなるまでの間、北海道の大地で生活した坂本直行さん。

この作品は、十勝で農夫として暮らし日高をはじめ北海道の山々を愛した著者が綴った26篇の画文集です。自身と同じ農夫との会話、険しく厳しい登山のなかで描かれた山岳画や植物のスケッチが至るページに収められています。著者が見つめた“原野”を思い浮かべながら、また現在はその原野がどのくらい残っているのか想像しながら読んでみてください。

こんな人に読んでもらいたいです!

本とメモのイメージ

北海道の山を知っているひと

自分が登った山の話が書かれていたらうれしいものですよね。札幌近郊の山々での山行を描いたものもありますよ。

北海道に住んでいる方

北海道はたしかに広いですが、山に登らないとその奥深さはわからない気がします。聞いたことがある地名や山のページだけでもどうぞ。

印象的なページと言葉

トレッキングする男性のイメージ

僕はこの日から現在まで二十五年間にあまる長い間、日高山脈を描きつづけてきた。(中略)今この当時のスケッチを取出してみると、現在の僕の絵にはあまり格段の上達を認められない。しかしこのことは僕の熱情を弱めることにはなっていないので、僕自身心安らかである

「原野から見た山」(P35)坂本直行
めぐみ

絵を描くことが、心からお好きだったのだなと思う一文です。

1932年当時学生だった直行さんは友人と2人で、まだ誰も成し遂げていない冬のペテガリ岳に挑戦します。

約3週間分の食糧は米3升、餅5升、フランスパン60個(30斤)、乾パン100枚、バター5斤、砂糖5斤、ソーセージ、味噌などで食べ物の重量だけで15貫…37.5kgに!。その時の直行さんの素直な気持ちが次の文に表れています。

僕達は食うために登るのか、登るために食うのか我ながら少し疑問に思ったが、とにかく食うたのしみを背中にしょって元気で歩いた。

「原野から見た山」(P116)坂本直行

恐れ多くも毎回私も山に登るとき、同じようなことを考えています。

甘いもの、しょっぱいもの、スタミナを即チャージできるもの、ここぞというとき頼りになるバナナ等々、友人に呆れられるほど毎回たくさんの食料を背負っては、ゼーゼーハーハーしています。

実はこのペテガリ登山にはオチがあります。気になる方はぜひ読んでみてくださいね。

めぐみ

ちなみに山で私を何度も生き返らせてくれるアイテム「あわ玉」です。

まとめ:登山画家の山との向き合い方を知る

絵に色を入れているイメージ

坂本直行さんで知っていることといえば、坂本龍馬の親戚であること、北大山岳部出身で、北海道のアウトドア用品店の老舗「秀岳荘」のロゴをデザインされた方であること、坂本さんの絵が北海道の老舗菓子店「六花亭」の包装に採用されていることくらいでした。

今回この作品を読んで、慎ましい生活をしながら山登りと山や植物のスケッチが心から好きだったこと、そしてご家族を大切にされていたことを知りました。

私は山に登るとき、登山口まではほぼ100%車ですが、直行さんは列車やバスを乗り継いで林道を歩いて登山口に辿り着いていました。今より鉄道路線が豊富だったとはいえ、先人たちの山登りは現在とは全く違ってタフだなと感じました。

めぐみ

登山をされる方は安全で楽しい山歩きを!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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