こんにちは。SHIORI BOOKSのめぐみです。
秋分の日を境に、日が落ちたかと思うと夕陽の余韻を味わう時間が短くなり、ストンと暗くなる気がします。
今回はそんな秋の夜長に、なぜか読み返したくなる星野道夫さんの「旅をする木」をご紹介します。
温かい飲み物を用意して、アラスカの雄大な山並みや森、そこに生きる生き物や人々を思い浮かべてページを開いてみてください。
「旅をする木」 ってどんな本?
![「旅をする木」の表紙イメージ](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2022/09/httpswww.amazon.co_.jp_.jpg)
アマゾンHPより画像転載
- 著者:星野道夫
- 初版年月日:1995年8月
- ページ数:253ページ
- ジャンル:エッセイ
19歳の時にふと古書店で手にしたアラスカ極北の地の「シシュマレフ村」の航空写真に魅せられた著者。そこからアラスカとの縁が始まり、数年後には旅人ではなく住民としてアラスカで生きることを決意します。
アラスカの自然の畏怖を感じながら写真家として感じたこと、エスキモーや町の人びととの交流、結婚し新しい命の誕生、自身が日本を飛び立つ前の若き思い出など33篇が収められています。
こんな人に読んでほしい一冊です
![込み合う書店のイメージ](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2023/09/books-389392_1280-1024x686.jpg)
チャレンジすることをためらってしまう高校生・大学生へ
進路に迷った時の参考にどうぞ。一歩を踏み出す勇気をもらえるはずです。
星野道夫さんの本をまだ読んだことがない方へ
「北国の秋」「オールドクロウ」「白夜」「十六歳のとき」…気になったタイトルだけでも読んでみてくださいね。
バードウォッチングやトレッキングが趣味の方へ
ホオジロ、ベニヒワ、ミツユビカモメ、コケモモ、ヤナギランなど日本でも見られる鳥や植物の名前が出てきます。アラスカと日本の共通点を少しだけ感じられます。
こころに残るシーンとことば
![アラスカの遠景](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2023/09/mountain-4424657_1280-1024x682.jpg)
人間の気持ちとは可笑しいものですね。どうしようもなく些細な日常に左右されている一方で、風の感触や初夏の気配で、こんなにも豊かになれるのですから。人の心は、深くて、そして不思議なほど浅いのだと思います。きっと、その浅さで、人は生きてゆけるのでしょう。
「旅をする木」新しい旅(P11)星野道夫
![](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2021/09/zen5.png)
「なるほど、人の心(自分の心)って浅いのか!」と思わずうなってしまう一文です。
ちょっとした不調で心やからだが重いとき、道端に咲いた花や、いい感じの雲の形、周りの人からの根拠のない「だいじょうぶ!」という言葉の励ましで救われることってありますよね。
これはぼくの持論なのですが、旅をしている時、その土地に暮らす人びとの匂いを嗅ぎたいのなら床屋へ行くことです。なぜかと聞かれてもうまく説明出来ませんが、町の人びとと一緒に床屋のいすに座り、髪を切られたりひげをそられたりしてぼんやり過ごしていると、どういうわけかその土地の人間になったような気がしてくるのです。
「旅をする木」ザルツブルクから(P55)星野道夫
![](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2021/09/zen5.png)
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23歳の時、東京から石垣島へ船で旅した時、石垣島のアーケード街にある美容室で髪を切ってもらいました。もちろん星野さんの教えに従ってです。
そこで何を話したかは忘れましたが、「旅人の自分」に酔って、意気揚々としていた気がします…若気の至りってヤツですね。
木も生えず、絶えず冷たい風が吹きすさぶ自然条件がきびしい土地ではあるが、そこで見た花の群生はすばらしかった。苛酷な環境の中で咲く花の美しさは、暖かく光に満ちた南の世界のそれとは一線を画している。
「旅をする木」ワスレナグサ(P245)星野道夫
![](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2021/09/zen5.png)
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厳しい風雪から耐えるため標高が高い(緯度が高い)ところに生える植物は、背丈が低いものが多いですよね。誰かに見せるために咲いているわけでもない花たち、そのはかない可憐さを毎年愛でたいのも私が山に登る理由のひとつです。
まとめ:私が星野道夫から学んだこと
![草原のクマのイメージ](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2023/09/grizzly-73505_1280-1024x682.jpg)
![草原のクマのイメージ](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2023/09/grizzly-73505_1280-1024x682.jpg)
私は10代後半から、星野さんの綴る文を繰り返し咀嚼し、何度読み返したかわからないほどです。星野さんに影響を受けた方はたくさんいらっしゃるでしょう。その時々の自分の置かれた状況や年齢、経験などから心に響く言葉は、毎回変わっていったものもあります。
「脆い」この漢字の読み方を知ったのは、星野さんからの本でした。すぐ忘れてしまうからか「もろい」と鉛筆でルビをふってある箇所がありました。「自然は脆い」、「人は脆い」など繰り返し星野さんの作品では語られてきたように感じます。
43歳で急逝された星野さん。いつの間にか星野さんが生きた年数を私は超えていました。何かの本で星野さんのお父さんが「息子の人生は短かったかもしれないが、太く生きた」というようなことをおっしゃっていたことを思い出しました。
私はあとどのくらい生きるのかわかりませんが、自分の足で好きな人と散歩したり、仲間と山に登ったり、お茶をしたり、できるだけ地球に迷惑をかけないように日々質素に平穏で暮らしていきたいなあと、そんなことを思いながら今回久しぶりに読みました。
![](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2021/09/zen5.png)
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
「この本読んでみて!」が口ぐせの私の推しをご紹介していきます。
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