「作家と猫」夏目漱石、養老孟司、三谷幸喜…それぞれの愛でかた

こんにちは。SHIORI BOOKSめぐみです。

今回ご紹介する本は、「作家と猫」です。

「作家と猫」、「文机と猫」、「書斎と猫」ってなんだか雰囲気がある組み合わせですよね。
文豪・夏目漱石や谷崎純一郎から向田邦子、開高健、石牟礼道子、養老孟司、三谷幸喜…。明治・大正・昭和・平成・そして令和、いつの世も作家のそばには猫がいました

もくじ

「作家と猫」 ってどんな本?

「作家と猫」の表紙イメージ
https://www.honto.jp/ 
hontoHPより画像転載
  • 編者:平凡社編集部
  • 初版年月日:2021年3月
  • ページ数:298ページ
  • ジャンル:エッセイ

猫好き49名の作家、文化人による猫にまつわるエッセイ集。手塚治虫、串田孫一、石井桃子、永六輔、水木しげる、最近亡くなった和田誠などとにかく猫好き多し。

巻末に著者全員の略歴とエッセイの出典元がまとめられているのもうれしいです。

こんな人にぴったりのほんです

並べられた本のイメージ

複数の本を同時に読む「並行読み」をされる方

本書はオムニバス形式です。それぞれの作家の切り口も書き方もちがうので、一冊で何通りも楽しめます。 

布団のなかで読む本を探している方

短くて2ページ、長くても数ページですし、やすらかな睡眠の導入によいでしょう。

動物が好きな方

猫好きはもちろん、生き物全般が好きな方ならどなたでも楽しめると思います!

印象的なシーンとフレーズ

猫の表情のアップ

あくびを するとき

ネコのかおは花のようになります

「作家と猫」ネコ(P34)まど・みちお
めぐみ

いやあ、さすが まど・みちおさんです!的を射ている名文!
あのくしゃっとした猫の顔を端的に表しています。

うろ覚えであるが、たしかジャン・コクトオの言葉にこういうのがあったと思う。

「女は猫と同じだ。呼んだ時には来ず、呼ばない時にやって来る」

私の考えでは、こういう猫型の女というものが、今や絶滅しつつあるように思われる。呼んでも来ない女と、呼ばないのにやってくる女-女がこの二種類に分離してしまって(省略)

「作家と猫」わが思い出の猫猫 (P89)伊丹十三
めぐみ

現代の世ならこういう文章自体がNGになり兼ねませんが、二人の作家がおっしゃっりたいことは、わかります!お二人ともモテたのでしょうね~。

最後は幸田文さんのエッセイをご紹介します。

二匹の飼い猫のうち、一匹は人なつこく、もう片方は目がつりあがって毛が薄く、見た目も性格もよくない猫。獣医師に「眼がつりあがっているのも、不器量なのも性質のたけだけしいのも手をかけてやればと治る」と言われます。

著者としては、正直二匹を平等に接するのは難しかったけれど、先生に言われた通りにすると、次第に不細工な猫の目元が丸くなり、性格も穏やかになり人を信頼するようになったそうです。

そこで作家は、自分の不器量で誰からも愛されなかった子ども時代と不器量だった猫を重ね合わせます。子ども時分の経験があるから、すねっ子、ひがみっ子、不器量っ子がいれば、そばに行って相手をしてあげていたのに、猫に対してはこの始末と自分の行動を顧みたのが次の一文。

子供のときからの、長い、あわれなもの弱いものに寄せる心ではあったが、それも結局は、いい加減な中途半端なものだったとしか思えない。(中略)しょせん平等なおおらかな愛とはいえないのだ。だめだなあと嘆息しながら、何十年の経て来た時間を考える。

「作家と猫」小猫(P180)幸田文 

まとめ:猫は作家に何を語るのか

こちらを見つめる黒猫のイメージ

今回このエッセイ集で初めて読んだ作家も多かったです。なかでも幸田文さんの文章は、心に残りました。あらためて読んでみたい作家のおひとりです。

またずっと昔から気になっていた内田百閒の飼い猫の失踪について情報を得るべく朝日新聞に公告を出した「迷い猫の広告」について掲載されているのもよかったです。

このようなオムニバス形式のエッセイ集は、多くの作家をひとかじりできて、新しいお気に入りをみつけるきっかけになるのがいいですね。この「作家と猫」には続編もあり、シリーズで「作家と犬」もあるので、こちらもいつか読んでみたいと思います。

私は、猫をこれまで一度も飼ったことがありませんし、子どものころから苦手でした。なにが苦手かというと、私のふくらはぎあたりに猫が身体を寄せ付けてくるのが、本当にダメで「ザワーーーッ」と鳥肌が立つのです。

でも思い返すとそれをされても大丈夫なネコちゃんもいました。友人宅の快とグレムリンです。この2匹は種類も飼い主も違うけれど、すり寄られても平気でした。なぜだろうと考えると2匹ともそれなりにまん丸い。というかやせていないからだったのかなというのが、私の見立てです。

ペットを飼うことは今の生活環境では無理なので、せめて友人たちの猫のように、カッコよく品があって、親しみやすい名前を考える遊びを一人でして楽しみたいと思います。

めぐみ

最後まで読んでくださってありがとうございました!

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