何を考えているかさっぱりわからない思春期の心「両手にトカレフ」

こんにちは。SHIORI BOOKSめぐみです。

今回ご紹介するのは、ブレイディみかこ著「両手にトカレフ」著者初めての小説です。フィクションなのにティーンのリアルな生活が描かれています。

作品のなかのおとなが何度も「私のようにならないように本を読みなさい」と若者に語りかけ、読書が作品のキーワードのひとつになっています。

本は私たちを裏切らないのか?

もくじ

「両手にトカレフ」ってどんな本?

「両手にトカレフ」の表紙イメージ

両手にトカレフ – 小説・文芸 – ポプラ社
https://www.poplar.co.jp ›
より画像転載
  • 著者:ブレイディみかこ
  • 初版年月日:2022年6月
  • ページ数:265ページ
  • ジャンル:小説

主人公は、アルコール依存症でうつ病気味の母に代わって、弟の世話をしながら暮らす英国の中学生ミア。ミアは図書館でホームレス風の男性から、明治時代に日本に生きた「カネコフミコ」の自伝書を勧められ、時空を超えてフミコの人生と自分の現状を重ね合わせながら物語は進みます。

英国と同様に日本でも起きている貧困、格差社会、ヤングケアラー、子どもを取り巻く社会問題について書かれた内容ですが、果たして救いはあるのでしょうか・・・!

こんな人に読んでもらいたい本です

本を読む人のイメージ

14歳のミアと同世代のティーン

ミアや同級生と同じ苦しい状況に置かれている人や、貧困や病気とは無縁のそれでも誰にも言えない悩みを抱えている人にも読んでほしいです。  

保育・教育に関わる人へ

保育士でもあるブレイディさんの子どもの心の内を読み取る力は素晴らしいです。この本のなかに悩みを解決するヒントがあるかもしれません。

本書中のステキな言葉

行きかう人々のイメージ

ウィルの音楽とミアの言葉が一緒に震えているうちに痛みが相手に伝わり、分け合うことでゆっくり緩和されていく

「両手にトカレフ」(P172)ブレイディみかこ

『心が共振できる友だち』にようやく会えたフミコがこれからどうなるのか気になってしかたがなかったからだ

「両手にトカレフ」(P172)ブレイディみかこ

家でも学校でも分かり合えるひとがいなかったミアはウィル、フミコはたみちゃんという真の友ができます。

共感でも共鳴でもない“共振”ということばに、ドキッとしました。

まとめ:”ブレイディみかこ”という引力

外国のアーケード街

この小説にはブレイディさん自身の子ども時代、自身が英国ブライトンにある『底辺保育所(自称)』で働いていた頃に接した子どもの生活実態や、息子が通う『元底辺中学校(自称)』のクラスメイトが置かれている現状が織り込まれてあり、リアリティがありました。

めぐみ

ことばを携えて、社会の不平等さに怒りを持って立ち上がるミアとブレイディさんが重なりました。

私がブレイディさんの著書を初めて読んだのは、遅まきながら2019年に出版された「ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー」でした。

それから出版された本はほとんど読みましたが、ブレイディさんの文章は読んでヒリヒリすることが多いです。それは子ども心をよくわかっていて、自分の子ども時代に持っていた羞恥心を見透かされた気がするからです。

でもそんな子どもの気持ちをわかってくれる大人がいて、さらにそれを代弁して世に発信してくれるブレイディさんは、今の世の中に必要な存在です。

読者がブレイディさんの言葉を欲しているから、次々と新作が出るのでしょうね。

めぐみ

最後まで読んでくださってありがとうございました!

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