就活の実体験をもとにした小説「格闘するものに〇」三浦しをん

こんにちは。SHIORI BOOKSめぐみです。

今回ご紹介する本は、三浦しをんさんのデビュー作「格闘するものに〇」です。

「風が強く吹いている」、「まほろ駅前多田便利軒」、「神去なあなあ日常」、「舟を編む」など数々の名作を生み出し映画化されている三浦しをんさん。

その作家人生は、自らの就職活動の経験をもとにしたこの1冊から始まりました。

もくじ

「格闘するものに〇」ってどんな本?

「格闘する者に〇」の表紙画像
新潮社HPより画像転載
https://www.shinchosha.co.jp
  • 著者:三浦しをん
  • 初版年月日:2000年4月(文庫版 2005年3月)
  • ページ数:279ページ(文庫版)
  • ジャンル:小説

  

主人公は出版社志望のマイペースで就職活動中の大学生、可南子。さらにゆるっと周回遅れの二木君と砂子が良き友人。

腹違いの弟との相性はいいけれど、義母や実父とはいびつな関係。相思相愛の彼は年の離れた書道家。考えてないようで、色々考えなきゃいけないことがたくさんある可南子の就活中の日々を、笑いとユーモアで綴ります。

こんな人に読んでほしい一冊です

本とノートのイメージ

現在就活中の学生さん

時代がちがうので、就職活動自体は全然参考にはならないかもしれませんが、視点の一つとしてあなたに新しいモノを与えてくれるはずです。息抜きには抜群におすすめです。

就活に苦しんだ方

あなたの体験とは違うはずですが、その中にも共通点を見つけることはできて懐かしく感じるはずです。現実に疲れたときは、作家さんの文章でノスタルジーに浸りましょう。

本書よりいくつか抜粋

オフィスの受付の様子の画像

説明会はリクルートスーツで行くのが相場らしいが、わざわざ「平服にておいでください」と書いてあったから、気合を入れて可愛らしいタックの入った黒いカーディガンに、黒いスカート、(中略)膝下までの豹柄(中略)のブーツ、という完璧なるコーディネートで出かけたのに、会場は見事にリクルートスーツで埋め尽くされていた。

「格闘するものに〇」(P18)三浦しをん
めぐみ

私も可南子と同じで、就活は「平服」で行きました。だって平服って書いてあるんですもの。案の定500名ほどの説明会の会場で平服の学生は1割にも満たず、平服グループがすみっこにかたまって、なんとなく仲間意識が芽生えました。

仲良し3人で就活に関する「マニュアル本」を読んでいるシーン。

「ここ読んでよ、この『体験者の話』。『自己PRで、私の自慢はこの笑顔です。笑いじわがそれを証明しています、とニッコリ笑ったらOKでした』だって」

そんな基準で選んでるからバタバタ会社が潰れるんだよ。私たちはひとしきり吠えた。

「格闘するものに〇」(P140)三浦しをん
めぐみ

当時の就活生のバイブル「面接の達人」略してメンタツには、こんな武勇伝的エピソードが山ほど!懐かしいーーー。
今もメンタツあるのかな??

出版社“k談社”の筆記試験会場にて。

すると、前方で説明していたk談社の男が、「カクトウするものに丸をしてください」と言った。なんのことだろうと私は思ったが、二木君がすかさずツッコミを入れた。

「格闘するものに〇」(P151)三浦しをん
めぐみ

なんのことか、もうおわかりでしょうか!? 
実際本を読んで確認してみてくださいね!

まとめ:就職氷河期女子就活生の記憶

ノートPCを操作する女性のイメージ

しをんさんと私は同世代で、就職超氷河期の時代背景を知っているので、当時自分も慣れない東京や大阪での就職説明会や受験会場へ暑いなかさまよっていた苦い思い出ともに、今回久しぶりにこの小説を読み返しました。

企業説明会の「平服」で隣り合った人と、説明会後にお腹を満たすためファストフードに入って、情報交換して、名前も連絡先も聞かずお互いの健闘を祈って別れる、、、そんな就活でした。

学生の頃は、働かないと烙印を押されるとプレッシャーを自分にかけて焦っていましたが、そんなことはないし、ドロップアウトしても何度でもやり直せることをあの時の自分と、今の就活生に伝えたいです。

めぐみ

ところで可南子の友人の二木君と砂子の名前は、安部公房の「砂の女」の主人公の仁木順平やタイトルと関係があるのでしょうか?ご存じの方ぜひ教えてください!

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