戦時下の少年はどういう夢を見たのか「過去六年間を顧みて」

こんにちは。SHIORI BOOKSめぐみです。

そろそろ小学生の夏休みも終盤ですが、絵日記の宿題は順調に進んでいますか!?

今回は、85年前の1937年に小学6年生だったかこさとしさんが書いた絵日記をもとにした「過去六年間を顧みて かこさとし 小学校卒業のときの絵日記」をご紹介します。

もくじ

「過去六年間を顧みて かこさとし 小学校卒業のときの絵日記」ってどんな本?

「過去六年間を顧みて」の表紙画像
偕成社HPより画像転載
https://www.kaiseisha.co.jp/
  • 著者:かこさとし
  • 初版年月日:2018年3月
  • ページ数:151ページ
  • ジャンル:伝記

  

戦争の影が忍び寄るなか学友と充実した日々を過ごし、聡明で、はつらつさがうかがえる中島哲少年(なかじまさとし・かこさとしさんの本名)の幸せな小学校時代の思い出を卒業時に綴った絵日記をもとにした作品です。

当時から絵が上手でお話も好きだったようです。かこさんのお父さんが、二つ折りにした原稿用紙を硬い用紙で表紙と裏表紙をつけ、ひもで綴じてくれた絵日記が戦火を免れ、今回当時の思い出の聞き書きが追加され一冊の本となりました。紙質は実物に似せたのか、ザラザラした懐かしい手触りなのもよいです。

こんな人にお勧めの本です

本を読む人にイメージ画像

かこさとしさんファン

表紙の机に肘をついて笑っている自画像の少年が、晩年のかこさんと変わらない姿に感じます。彼の少年時代を知ることができる貴重な一冊でしょう。

絵日記に苦しむお子さんをお持ちの方

自分の心に残ったことを素直にかけばいいんだ!と気づかせてくれる自由でのびのびとした作品なので、宿題のヒントになってくれるでしょう。

忘れられない言葉とページ

グラウンドで遊ぶ少年のイメージ

第四学年 図工で特等をもらった時の思い出

僕の図工は先ず画用紙に水色をぬる。もう一枚の紙に海藻やサンゴの絵をかき黒兵衛がサンゴの枝につかまっている絵をきれいにきりぬいた。前の水色の画用紙にはりつけた。(中略)こうしてあつい夏休みも図工のおかげで楽しく送れた。

(※黒兵衛とは田川水泡の漫画の主人公凹凸黒兵衛のこと)

「過去六年間を顧みて かこさとし 小学校卒業のときの絵日記」(P62-64)かこさとし
めぐみ

特等を獲った時の絵を見ながら、「エヘン」と得意げになっている中島少年の似顔絵が見ものです。このころから創作に熱中していたのですね~。

第六学年の思い出 絵日記最後の締めくくりの一文

科学博士という目的をめざし、友と約束したことと、父母の教えを胸にとめ勢よく進んでいこう。

「過去六年間を顧みて かこさとし 小学校卒業のときの絵日記」(P123)かこさとし

5年生から中学受験のため勉学に励んだ中島少年。初志貫徹された姿が立派
 

まとめ:楽しく真剣に生きる姿

夕暮れの田舎の風景のイメージ

私は本の後ろにある著者紹介を見るのが好きな子どもで、かこさんのプロフィール写真は、分厚そうな眼鏡をかけてスーツを着たまじめそうなおじさんという印象でした。

あるとき「このおじさんは、自分自身が楽しんでるんだなあ」と思いました。なんせ絵の描写が細かいのです。

「101ぴきのおたまじゃくし」は、101ぴきの兄弟が列を組んで池を泳いでいるし、「だるまちゃんとてんぐちゃん」シリーズでは、うちわやバッグがわんさか描かれているし、「とこちゃんはどこ」(文は松岡享子さん)は、まるで「ウォーリーをさがせ」の老舗版みたいです。

めぐみ

科学絵本「海」は大人になった今も時々眺めています。

かこさんの作者紹介にはだいたい「東大卒、セツルメント活動」という言葉が書かれていました。

セツルメントは、保育士試験のテキストにもよく出てきました。恥ずかしながらそこで初めて意味を知ったのですが、それは知識人が貧困地域に移り住み生活を共にして、生活や文化、知識の向上を援助する活動のことでした。

底辺の底上げというのでしょうか、かこさんは「人は生まれながらに平等である」ことを、自らが行動して子どもたちにその姿を見せていたのかなと思いました。

2018年に亡くなったかこさんの晩年を特集した番組では、痛みに耐えてときどき唸りながら、遺作となった「みずとはなんじゃ?」を執筆されていました。この作品は、体力などを考慮して絵は鈴木まもるさんに託されました。

めぐみ

最期の最期まで探求心が尽きなかったかこさとしさんへ「たくさんの本をこの世に残してくれてありがとうございました」と、伝えたいです。

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