【衝撃の結末「ザ・ギバー」】中学生から読めるベストセラー近未来小説

こんにちは。SHIORI BOOKSの編集担当ナカムラです。

本日ご紹介する本はロイス・ローリー著「ザ・ギバー」

以前から読みたい読みたいと思っていた本をやっと読めました。

ていうか、もっと早く読んでおけばよかった!

すべての世代に読んでほしい、1994年度「ニューベリー賞」受賞作アメリカ児童文学の傑作です。

もくじ

「ザ・ギバー」ってどんな本?

  • 著者:ロイス・ローリー
  • 初版年月日:1993年
  • ページ数:253p(訳書に依る)
  • ジャンル:小説

主人公ジョーナスが暮らすコミュニティは不便なこと非合理なこと、痛みや苦しみ、それら「無駄」が極力排除された穏やかな場所です。

生まれてから老いるまで、すべてがコミュニティによって決められていて、自分で何かを選択する機会がない、規律正しい社会です。そこで暮らす子供たちは、12歳になるとそれぞれの適正に合わせた職場へ見習いとして加入します。

親友アシャーはその明るい性格からレクリエーション係に選出された。そしてジョーナスの番。彼が配属された先とは...

こんな人に読んでもらいたい小説です

本を読む人のイメージ

いろいろな本を読み始めた中学生

読みやすく学びも多い、純粋に近未来SFとしても楽しめる。英語が得意な大学生は原文で読むと勉強になります。

しあわせとは、社会とは、と普段から深刻に考えがちな大人

意外とこの本に答えがあるかもしれません。当たり前にある多様性の大切さが少年の目を通して再確認できます。社会のあるべき姿を追求すること自体が危うくなってきます。

印象的なシーンとフレーズ

夕焼けをバックにした道路標識

リンゴの色が見え始めるシーン

ストーリーが進むまで何のことかよくわかりませんが、それがわかるとゾクッとします。

大人がみんな飲む「高ぶりを抑える薬」って!?

少しずつ明らかになってくる「コミュニティ」の異常さ。先を読むのが少し怖くなりますが、読んでしまう。

どうして逃げだす前に、<記憶を伝えるもの>からもっと温かさを受けついでおかなかったのだろう!
そうしていれば、いまももっと残っていただろうに。

「ザ・ギバー」ロイス・ローリー著/掛川恭子訳 講談社ユースセレクション p261より

まとめ:管理社会の境界線とは

現代的な建物と人物

この本は純粋に娯楽作品、近未来SFとして読んでもとても面白いです。そして、大人が読むと多くの気づきを与えてくれます。いくつかの側面から見ることができますが、私は行き過ぎた管理と画一化の怖さを強く感じました。

言うまでもなく、私たちの世界に正解というものはありません。ですが、近年、合理的で無駄がないことが唯一の正解とする風潮が蔓延しているように思います。でも、実際の人間の一生は無駄なことだらけです。大人ならみんなわかるはずです。

その無駄なことの中に大切な経験と記憶があって、それが時に生きる支えになっています。私も人生の転機ではなく、人から言われた何気ない一言一杯のコーヒーなんかの一見どうでもいいようなことが思い返されます。

そして、そんな一見無駄な記憶を大切にし、他人のそれも大切にする。それができたら、きっといい世界になるんじゃないかな、そんなことを考えながら読みました。

シンプルで読みやすいのでぜひ手に取ってください。あなたはどんな感想を持つでしょうか?

  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

もくじ