こんにちは。SHIORI BOOKSのめぐみです。
本日ご紹介する本は益田ミリ作「スナックキズツキ」です。
傷ついた人にしかたどり着けない、謎のスナック「キズツキ」で脱力系ママがゆる~くおもてなし。
この秋ドラマ化も決定した話題作を一足先に読んでみませんか?
「スナックキズツキ」ってどんな本?
![「スナックキズツキ」の表紙イメージ](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2021/10/41mn-MuYkL._SX351_BO1204203200_.jpg)
- 著者:益田ミリ
- 初版年月日:2021年1月28日
- ページ数:215ページ
- ジャンル:漫画(コミック)
物語の舞台は、傷ついた人のみたどり着けるという都会の路地裏にあるちょっと風変りなスナック「キズツキ」です。
スウェットのようなものを着てお店に立つ色気ゼロ、一見やる気ゼロのスナックのママ、トウコさん。ママ自身が飲めないのでアルコールは置いていません。スナック「キズツキ」にたどり着いた登場人物は9名。それぞれが一人ずつ訪れますが、実は必ず誰かと繋がっていて、知らないうちにお互いを励ましたりキズつけ合ったりしている。それぞれが誰かのために生き、誰かによって傷ついている、それが本書のテーマでしょうか。
読んでほしいのはこんな人たち
![本を探す女性](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2023/09/darwin-vegher-W_ZYCEUapF0-unsplash-2-1024x683.jpg)
人間関係に疲れてしまった人
キズつかない人なんてこの世にいないはず…ということは誰もがスナック「キズツキ」にたどり着ける資格あり!?
だれかになぐさめてほしい人
自分なら、トウコさんからどんなおもてなしを受けたいか、そんなことを考えて読み進めると楽しいです。
カフェやスナックなどのお店で働いている人
トウコさんのおもてなし術は、見習いたいところがたくさんあります。肩の力を抜いてリラックスすることの大切さを教えてくれるのが本書です。
印象的なシーンとフレーズ(※ネタばれ注意)
![提供されるドリンク](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2023/09/lightscape-yAOVq9EDGlI-unsplash-1024x683.jpg)
「(中略)損してる~今日も小さく損したのさ~積み重なる損を~取り戻したいの~か~な~」、「コールセンターへの苦情電話~あふれだすわたしのマグマ~、怒り始めたら止められなくなる~だって~みんなは~もっと主張してる~」、「こんなわたしじゃ~なかった~ちがうんだ~ちがうんだよ~本当は~」
「スナックキズツキ」益田ミリ著 P42-44
デパ地下のお惣菜店で働くアダチさんは、スナックキズツキにて、ピアノの弾き語りで本音を吐き出します。アダチさんはお客からのクレームや、クレーマーとしての自分の言動を振り返り、そんな自分に傷ついて肩を落とします。お店を出たあと、トウコさんが追いかけてきてお得なカードを渡します。そこには、こんな励ましと救いのメッセージがありました。
「ご来店時ラッシー1杯無料。あなたに限り。この店がある限り」
「スナックキズツキ」益田ミリ著 P46-47
![](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2021/09/zen5.png)
アダチさんはちょっと苦手なタイプですが、そのアダチさんにも日々のつらさや葛藤が当然ながらあって、その気持ちに同情し救ってくれるお店に出会えてよかったねと思いました。
まとめ:入りたくなる店には理由がある
![深夜の居酒屋](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2023/09/alex-knight-Y7O7lUczzXs-unsplash-1024x683.jpg)
![深夜の居酒屋](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2023/09/alex-knight-Y7O7lUczzXs-unsplash-1024x683.jpg)
作者益田ミリさんの鋭い人間観察力と、ユルッっとした絵のタッチが相まって何度も読み返したくなるコミックです。
自分がもしスナック「キズツキ」にたどり着けたら、どんな風になぐさめてもらいたいかなとよく想像するのですが、毎回トウコさんになぐさめてもらいたい方法がちがうから不思議です。
スナック「キズツキ」のお店の前で、入るのをためらって立ち去った人もいるはず。
この登場人物の9名は、思い切ってお店のドアを開けられた時点で、勇気があるなと思います。
だって見るからに怪しいスナックなんだから。
自分好みのお店を嗅ぎ分ける嗅覚が冴えてる時ってたまにありませんか?
私は一人旅の途中、「自分ナイス!」と褒めたくなったことがあります。
ある時、繁華街で数ある居酒屋さんから「ここだ!」と直感で入ったお店が当たりでした。
そこは、なんとメニューがないお店でした。
食べたいもののイメージを伝えたら、出してくれるというスタイルでその斬新さもさることながら、すべてがちょうどいい塩梅でした。
60代のママさんに「ウチは間口も狭いし、一人だと入りにくい雰囲気だけどどうして選んだの?」と聞かれ、私は「繁華街を何周もしてお店を探し歩いていたとき、ここのお店からもれてくる食器を棚にしまうカチャカチャという音が心地よかったので」と答えました。
思い返すとちょっとキザっぽくて恥ずかしいですが、本当にそれが理由でした。
![](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2021/09/zen5.png)
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![](https://shioribooks.com/wp-content/uploads/2021/09/zen5.png)
こういうお店との出会いが、5年、いや10年に一度でいいからあるとうれしいですね。
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