子ども科学電話相談の鳥の先生!「鳥類学は、あなたのお役に立てますか?」

こんにちは。SHIORI BOOKSめぐみです。

今回ご紹介する本は、川上和人著「鳥類学は、あなたのお役に立てますか?」です。ラジオ「子ども科学電話相談」では、鳥にまつわる子どもの素朴な疑問について、わかりやすく解説してくれる先生。

本書では鳥類学者である川上先生が、過酷な島での調査で得たふかーい知見をかるーい語り口で教えてくれます。

軽妙な文章、話が脱線するのは川上先生のご愛敬!?

もくじ

「鳥類学は、あなたのお役に立てますか?」ってどんな本?

「鳥類学は、あなたのお役に立てますか?」の表紙イメージ
新潮社HPより画像転載
https://www.shinchosha.co.jp 
  • 著者:川上和人
  • 初版年月日:2021年3月
  • ページ数:238ページ
  • ジャンル:自然科学

日本列島から約1000㎞離れた小笠原諸島が著者の調査フィールド。そこで島に生息する鳥の生態や進化、保全のための研究をされています。

傾斜60度の崖をよじ登って海鳥の調査をしたり、島嶼(とうしょ)生物学の国際会議で研究成果を発表したり、踊ったり…どんな過酷な環境でも肯定的に受け止める川上先生、それを楽しく文章化したのがこの本です。

こんな人に読んでもらいたい一冊!

並べられた本のイメージ

子ども科学電話相談のリスナー

川上先生の本業の詳細がこの1冊にまとめられています。鳥類学者の実際をのぞき見ることができます。

将来「学者」になりたいと思っている中高生

先生は卓球もするし、ガンダムにも仮面ライダーにも造詣が深い!勉強だけでは「学者」にはなれない!? いろいろな方面にマニアックに探究できる、そういう感性が大切なんだと思います。

オフィスワーカーの方に

「世の中にはこんな仕事もあるんだなあー」と素直に思うことができます。うらやましいような、自分には絶対できないような...

本書よりいくつか抜粋をしてみましょう

雪の中のカケスのイメージ

仕事が手につかない日は頭のなかで「絶滅ごっこ」をする著者。それによると国内で最も絶滅の危機にあろう鳥は、著者のフィールドである小笠原諸島に生息する「オガサワラカワラヒワ」とのこと。

知名度がないこの鳥を保全するには、まず名前と現状を知ってもらわなければという川上先生からのお願い。  

(省略)「オガサワラカワラヒワ」である。まずはこの名を覚えていただけると幸甚の至りだ。3回ぐらい名前を連呼すれば、きっと頭に刻み込まれることだろう。

「鳥類学は、あなたのお役に立てますか?」(P152)川上和人
めぐみ

…というわけで「オガサワラカワラヒワ・オガサワラカワラヒワ・オガサワラカワラヒワ」

現在日本にいる鳥類は約630種。この数字の根拠になるのが、日本鳥学会(1912年発足の学術団体)で出版されている「日本鳥類目録」です。

2012年に発行された「鳥類目録第7版」の編集委員に任命された川上先生。2000年に出版された前回から、この10年間でデジタルカメラなどの性能が格段に上がったことで、各地で記録が飛躍的に増加され、大改訂が必要なことに…!

4年の歳月をかけ準備、それぞれの委員が担当したか所を持ち寄って、つなげてみると…

不思議だ。ミスがないページが1ページもない。

「鳥類学は、あなたのお役に立てますか?」(P152)川上和人
めぐみ

書店で立ち読み中に、この一文にノックアウト!即、買いました!

「鳥類目録第8版」の出版は今年9月の予定とのことなので、現在は編集作業が大詰でしょうね。注目は「オガサワラミズナギドリ」の名が復活しているかどうか…!気になる方は、ぜひ本書P78をお読みください!

まとめ:鳥を好きになるきっかけを作ってくれる

枝にとまるスズメのイメージ

川上先生が素晴らしいなあと思うのは、「子ども科学電話相談」で子どもの質問に回答した先生のお話を聞いて、鳥に関心がない私の友人や姉のことをも魅了してしまうところです。

先生が私たちの“凡人レベル”まで下りてきてくれて、かみ砕いたやさしい日本語で解説してくれるからでしょうね。

これからも鳥の研究成果をわかりやすく、且つ調査研究にまつわる面白エピソードをどんどん披露して、自然に関心を持つ方の裾野を広げていってほしいです! そうすれば鳥類学は、巡り巡って私たちの生活にもつながり、役に立つのだと思います!

めぐみ

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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