女子カヌーひとり旅の記録「ホームレス女子大生川を下る inミシシッピ川」

こんにちは。SHIORI BOOKSめぐみです。

今回ご紹介する本は「ホームレス女子大生川を下る inミシシッピ川」です。

突然ですが、もしあなたがホームレスになってしまったら・・・どうしますか!?

この本の著者は、留学先のアメリカでホームレスになり「家がないならテントに住めばいい」と過酷な状況をサラッと受け流して、なんとカヤックで旅に出ます。その距離3,000㎞!

所持金10万円の3か月に渡る貧乏旅行を成し遂げた文化的に豊かな人の旅日記をご紹介します!

もくじ

ホームレス女子大生川を下る inミシシッピ川」ってどんな本?

「ホームレス女子大生川を下る」の表紙イメージ
https://shop.hochi.co.jp/
ショップ報知より画像転載
  • 著者:佐藤ジョアナ玲子
  • 初版年月日:2021年11月
  • ページ数:239ページ
  • ジャンル:紀行

家賃が払えず住む場所がなくなってしまったのが理由で、日本から持参したカヤックに3000円のテントを積んで、ミズーリ川を経由しミシシッピ川の河口、メキシコ湾まで3,000Kmの川下りしたジョアナさんの旅行記。

川岸の住人で川を下る旅人に食事や寝床を提供してくれる「リバーエンジェル」との交流や、アメリカ中部から南部の州の先住民や移民の歴史の話など、普段見聞きしないアメリカ南部についても触れられています。ですがこの本は、特に目的もなく、ただ純粋な好奇心だけでカヤックを漕ぎ続けた自由な旅の記録です!

こんな人に手に取っていただきたい本

本が積まれている画像

中高生の夏休みの読書に

人生に必要なものは何かを気づかせてくれるはずです。それに心身的にも経済的にも自立しているジョアナさんはカッコイイ! 生きるということは何を意味するのか、その答えの一つがここにあるでしょう。

どこでもいいから旅に出たい人へ

アメリカ南部の地図とともに読み進めるとより深まるでしょう! こういう旅行記の名作はほかにたくさんありますが、この本は入門書として最適です。

心に残るページと言葉

朝焼けの山間を流れる大河

旅の序盤ネブラスカで、テントのポールが折れたり、思い入れのあるビーチサンダルが、ドロドロの砂浜に飲み込まれてしまった時の一文。  

道具が壊れたり、なくなったり。そういうのも旅の自然現象なのだろうと、受け入れるしかない。諸行無常である。

「ホームレス女子大生川を下る inミシシッピ川」(P32)佐藤ジョアナ玲子
めぐみ

このあたりが、ジョアナさんは人生を達観しているなあと思います。私は、お気に入りのカップが欠けたとき、片方の手袋だけ失くしたとき、なかなか受け入れられないのである。。

(中略)(セメント工場に)岩や砂、トウモロコシや麦などを山のように積んで運搬する巨大な船がミシシッピ川を行き来していた。その巨大な船は艀(はしけ)と呼ばれるもので、四角い箱のような形をしている。(中略)サッカーコート4つ分くらい(省略)

「ホームレス女子大生川を下る inミシシッピ川」(P86)佐藤ジョアナ玲子
めぐみ

川下りってのんびりしてそうだけど、川幅によってはこんな巨大船の間を手漕ぎのカヤックで通るなんて…アンビリーバボー!

旅の終盤ルイジアナでは、アブやヒアリの虫たちから手荒い歓迎を受けます。ヒアリは泳ぎが上手なので、カヤックに侵入したヒアリをすべて除去するのは不可能だそうです。こういう状況下での一文。

私たち人間の方が力も強くて体も大きいのに、こういう小さい害虫に対しては為す術もなく、ただ無力感を味わう日々だった。

「ホームレス女子大生川を下る inミシシッピ川」(P203)佐藤ジョアナ玲子
めぐみ

文字を見ただけでストレスMAX

まとめ:行動に移すことの大切さを学ぶ

水に浮かぶカヌーのイメージ

この作品は、私が愛してやまない作家の高野秀行さんと角幡唯介さんがそれぞれTwitterで絶賛しており、数々の紀行を出版されているお二人が言うなら読まねばと、保育士試験後に読書を解禁したときの最初の一冊に選びました。

ジョアナさんは、20代ですでにご両親が他界され経済的にも困窮した状況は、現実に考えればしんどい境遇です。でも道中の彼女の屈託のない笑顔の写真は、どれもが嘘っぽくなくて、読後はこちらも気持ちが明るくなりました。

このミシシッピ川の旅後は、ドナウ川に挑戦し現在は一時帰国中のジョアナさん。本作で「第7回斎藤茂太賞」を受賞したことで、これから彼女の旅、彼女自身を支援するスポンサーが出てきて、今後はもっと注目されるでしょう。(実際にこのミシシッピ川の旅の途中から、キャンプ道具等を支援してくれる企業が現れました)

だからこそ誰かの要望に応えるわけでもなく、彼女がひとりで計画しやってみよう!と実行したこの川下りの記録は、とても貴重な一冊となりそうです

めぐみ

旅の途中で見つけたジョアナさんの目標は「剥製師」になること。これからも益々活躍されるのでしょうね!

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